◆人の感覚とは曖昧なもの
歌っていて喉が苦しく感じる、という事がよく起こりやすいですが、その「苦しさ」って一体、どういう状態から感じるものなのでしょう?
それが、きちんと自分の中で理解できていないと、間違った解決方法に向かってしまう場合もありますので、慎重、かつ正確な分析が必要です。
◆苦しい状態
まず、苦しいというのは、肺から口の外に「スムーズに息が流れない状態」になっているから起こっている、という点をおさせておきましょう。
呼吸ができない(しにくい)状態になっているわけですから、当然、苦しく感じますよね。では、呼吸ができないというのは、喉の中は、どういう状態なのか??
◆苦しい原因①
一つ目は、「息止め」をしている状態です。
息を止める為には、声帯を(完全に)閉じることが必要なので、実際に、口を開いたままで、息を止めてみると分かりやすいでしょう。
その息が流れない状態で、無理に声を出そうとすると「あ”あ”ぁ・・」みたいな感じの声がでて、いかにも苦しそうな声になります。高い声を出す時に、声帯を過剰に閉じると、このような声になります。
◆苦しい原因②
二つ目は、喉仏が上がり過ぎている状態です。
少し、専門的に言いますと「ハイラリンクス」「喉詰め発声」というものです。
これは、声帯にも悪い影響(不自由)を及ぼしますが、分かりやすく言いますと気道を圧迫している状態。息が流れないように、喉の中にある息の通り道「弁(喉頭蓋)」をパタッと、フタをしようとしている状態。(=飲食をする時のアクション)
この状態になると、声帯にも過剰な力が加わりますし、原因①よりも、喉や首全体に苦しさを感じやすくなるかと思います。
◆①②を踏まえて気をつけたいこと
苦しいと感じるのは、①だけが原因の場合、②だけが原因の場合、①②の複合が原因の場合があります。
高い声を出そうとする時に喉が苦しく感じた時、①が原因であるにも関わらず、②が原因だと勘違いして、喉仏を下げる(=喉の奥をしっかり開ける)ことをしてしまう人がおりますが、それでは、解決できません。
つまり、喉は上がっていないのにもかかわらず、喉を下げてしまうので、逆に、喉に力が入りやすくなり、声帯も閉じにくくなる。
これが「喉は開けているのに苦しい」と感じるパターンの一例です。
結果、「苦しい+モゴモゴしたこもった声」が生まれてしまう事があります。①だけが原因なのであれば「高い声を出す為の声帯閉鎖」をしてあげればよいだけ。至ってシンプルです!
しかし、そんな勘違いが起きてしまうぐらい、喉の中の感覚は曖昧なものなのです。
ですので、頭の中で「声帯と閉じる」と「気道を狭める」という2つを、しっかり分けてイメージできるようにしておくと良いでしょう!
ぜひ、参考にしてみてくださいね!
***
written by KAN
https://twitter.com/loosevoice
■仙台ボイストレーニング Loose Voice
【無料ボイトレメール講座】